僕は現在、両親のもとを離れて関西地方の中心である大阪で一人暮らしをしています。僕の実家は岡山で建築に関する商売をしているのですが、父の後を継ぐために大学で建築学を勉強しているのです。

一応事前に準備と言うか、春から一人暮らしすることが正式に決まった時点で家事の練習はしてきましたが、所詮はそれもまだまだ付け焼刃な状態だったため、こちらに来てから半年ほどは苦労の連続でした。
例えば自炊をするために料理本で見たレシピを作ろうとしても、「あれ、『出汁醤油』って、だし汁に醤油を足すだけでいいのか？」とか、「大根が柔らかくなる適切な時間って、実際何分なんだ？」などなど、主婦であれば問題無く知っているようなことも僕は分からず、一つ一つ調べながらお料理をするという具合でした。

まぁ、その甲斐あって今では一通りの家事は出来るようになりましたが、今度はそれを買われ、サークルの先輩の家を片づけるのに駆り出されるなんてことになってしまったのです。
その先輩にはかなりお世話になっていますが、人柄的に相当変わった人で、「キミ、何となく家事出来そう！だから私の家に来て！」などと声を掛けられました。
先輩の家に行ったら行ったで、「ねぇねぇ、玄関のカギなんだけど、キミはシリンダーorディンプルキーどっちを選べばいいと思う？」などと質問され、色々な意味で僕は面喰ってしまったのです。